去年、あまりにも衝撃的なタイトルで思わず手に取ったこの本。
実は途中まで読んで投げ出してしまっておりました。。
理由は、学級崩壊のあたりの話に来た時に、
どうしても読み進める力が私にはなかったから。
ちょうど自身の辛いことも重なって、
何だか文字を追っていく元気がなくなってしまった当時。
そして、1年たってから。
「今なら読める気がする」
そう思って、再び本棚から手に取りました。
やっぱり途中はとっても辛かったのですが、
それよりも面白さが勝って、
一気に読み終えることが出来ました。
自分の環境も落ち着いたからなのかもしれません。
***
私の実家も、電車が通っていない田舎町にあります。
こだまさんの出身地ほどではないけれど、
閉ざされた空間から飛び出してみたくなったというのはとても共感が出来ます。
男の人と二人で夜道を歩いていても、近所の人に噂されない。
知人の目の多さに生きづらさを感じていた地元にいたころの私は、
都会の大きな渦にあこがれていました。
こだまさんも念願かなって一人暮らし。
そこから始まったこだまさんの、文字通り血まみれ人生。
松尾スズキさんの帯コメントで
「"結婚"という名の怪我をした、血まみれ夫婦の20年史」
というのがどんぴしゃりはまります。
ところどころに散りばめられた、
ラッパーばりの韻を踏んだツッコミ文章がとてもツボ。
(以下抜粋)
・彼のスウェットの胸元には「No problem」と書いてあった。どう見ても問題しか起きてない。
・住民票を移すよりも先に恋人ができた。
・不能だけれど不毛にはなりたくなかった。
こういった文章のセンス、大好きです。
ふんだんにツボが散りばめられてます。
そして、私が去年読むのをやめてしまったところ、
先生になって担任したクラスでの、いじめの始まり。
心がぎゅーっとなります。
やはり、私も学生時代に学校が荒れていて先生を辞めさせたことがある学年だったからでしょうか。
読むに堪えられなくなるくらい、
辛い辛い出来事がつづられています。
しかし、その後の生徒たちとの関係にホッコリしました。
世界は頑張っている人に辛いことばかりじゃない。
旦那さんには絶対言えないであろう出来事まで赤裸々に書いてあるのに、
こだまさんの潔さがあります。
タイトルの一点以外は平和な夫婦そのもの。
こんなに日常を彩り楽しむ幸せな夫婦は憧れる。
今年の初めに2作目が発売されていました。
タイトルのインパクトにいい意味で騙されず、
ちょっと人生の意味について考え始めた人は是非読んでほしい。
こんなにも美しい日常を生きている人のことを、
もっと知ってもらいたいです。
※同じく美しい日常を生きているなと思う方の作品はこちら
映画「人生フルーツ」つばた英子・つばたしゅういち夫妻流スローライフ(ネタばれあり)