「 冒した者 」
作:三好十郎
演出:上村聡史
<日時・会場>
2017年9月6日~22日
信濃町文学座アトリエ
<キャスト>
私(三階の先生・三好十郎):大滝寛
舟木(内科医・サナトリウムを作りたい):中村彰男
若宮(柳子に株の指南):若松泰弘
浮山(地下でキノコ栽培・柳子に金の無心):大場泰正
省三(舟木の弟・帰還兵):佐川和正
須永(来訪者・先生を尊敬する演劇研究生・恋人と心中しようとする):奥田一平
織子(舟木の妻・クリスチャン):金沢映子
柳子(屋敷の主人・三味線の名手):栗田桃子
房代(若宮の娘・進駐軍で働いている):吉野実紗
モモちゃん(広島で被爆し盲目・フルートが好き):金松彩夏
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久しぶりの文学座アトリエです。
到着してみたところ、上演時間にひっくり返りそうになる…
休憩10分を2回挟んでの3時間50分…!
多分、今までの観劇作品の中で最長記録の気がします。
入り口も、いつもとは違うところに通されて、
中を見てびっくり。
隕石でも落下して出来たのか!?というような
巨大なクレーターみたいなくぼみがアトリエ内部に広がっています。
文学座アトリエにぽっかり大きなクレーター、上村聡史演出「冒した者」開幕 https://t.co/n3iVqpDofT pic.twitter.com/ZM0oazvacW— ステージナタリー (@stage_natalie) 2017年9月7日
客席も円形で、いつもとは違う並び。
大胆な舞台美術だなと思いました。
なんとも贅沢。
原作は三好十郎さん。
今回の観劇でお名前を初めて知りました。
まず驚いたのは、冒頭の大滝さん一人での独白。
5000語にも及ぶという膨大なモノローグは圧巻。
大滝さんの吸引力がなせる業。
とある屋敷で色々な事情を抱えつつも、
それぞれ平穏に暮らしていた住人たちが、
ある一人の男:須永の来訪で、
一気に歯車が狂っていってしまう話。
さすが、全員文学座の座員の方だけあって、
演技力について語るまでもありません。
あっぱれ。お見事。爪の垢を煎じて飲ませてください(土下座)
また、劇団のように皆さまが同じ環境で勉強してきたこともあり、
芝居のリズムや合わせるタイミングなどが、
ピタッとはまるのが何とも心地いいです。
持っているグルーブ感?文化?が同じじゃないと、
なかなかここまでは揃わない気がします。
そしてラスト、誰が見ても息をのむ衝撃的な場面。
真っ赤に塗りたくられた全裸の須永。
(あの、男性の大事なところまで全部真っ赤でした…。
本当に全裸に真っ赤なインク?をつけていたのか、
見ながらずっと気になってしまった…)
同じく全裸のモモちゃん。
(こちらは、片方の胸だけ出た状態の衣装でした)
非常に難しい芝居だけでなく、
ステージで裸になれる勇気が私にはまだありません。
(やれと言われたらやるしかないのだろうけど…)
それだけで、どっひゃーとなる私。
しかし、なんと、戯曲だと全裸なのはモモちゃんだけだそうで。
ラストのこのシーンの演出には、
しのぶさんの考察がとても興味深かったので、
リンクを貼っておきます。
文学座『冒した者』09/06-22文学座アトリエ|しのぶの演劇レビュー
終演後は時間がなかったので、
佐川さん・彩夏ちゃんには直接ご挨拶できませんでしたが、
あふれる感情を興奮気味に持ちながら帰宅。
とてもヒリヒリする作品でした。
三好十郎さんの他の作品も気になります。
こういった本を書かれる方の頭の中を一度覗いてみたいものです。