見沢知廉十三回忌追悼公演
『蒼白の馬上~1978326~』
<日時・会場>
2017年9月7日(木)~10日(日)
APOCシアター
<キャスト>
あべあゆみ・磯崎いなほ・岩澤繭・北村丈・鉱雅裕太・嶋木美羽・竹下亘・鶴見直斗・永友優
<スタッフ>
原作:見沢知廉
照準機関:髙木尋士
照準助手:市川未来
記述機関:鶴見直斗
照明:若林恒美
音響:大和二矢
宣伝写真:平早勉・ツカムラケイタ・吉田豊一・インベカヲリ☆・森本薫
ヘアメイク:木下恭子
制作:オフィス再生
協力:鈴木邦男・吉本千穂・Confetti・Quartet Online
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初「オフィス再生」さんの芝居を観劇してきました。
何度も再演されている作品のようで、
チラシ写真から過去公演の雰囲気を感じとり、
どんな景色が見えるのだろうと、どきどき。
劇場は、こちらも初のアポックシアター。
劇場の外壁に花柄?が描かれていて可愛い。
中も天井が高くて、客席とステージが地続きになっており、
とても雰囲気が良い劇場。
原作は、見沢知廉さんの本より。
1978年3月26日にあった、成田空港管制塔占拠事件を描きながら、
見沢知廉という人物に迫る不思議な物語。
とても過激?と言いますか、
コアなストーリーを書かれている方、という印象です。
私は出身が千葉県香取郡多古町というところで、
成田はほぼ地元と言って良いくらい慣れ親しんだ場所。
小さい頃、実際に空港反対デモを見たことが有りますし、
空港反対の車が走っているところ、その看板も沢山見てきました。
そして、騒音区域として人が引っ越してしまい、
廃れてしまった(無くなってしまった)地区も。
通学路として通っていた地区から、
どんどん家がなくなっていったのを覚えています。
みんな引っ越していったんだなぁって。
そこは、発着陸する飛行機の機体の真下を大きく見ることが出来るくらい、
騒音区域の真ん中にある地区でした。
のどかな田舎町に訪れた空港建設の事業は、きっとイキナリ過ぎて、
当時の人たちの思いを考えると、胸が苦しくなります。
劇中に農家のおばあさんが出てくるのですが、
もうナマリ方がうちの実家の方の方言で、
今年3月に亡くなった祖母を思い出してしまうくらいでした。
我が家も農家で、祖父の祖父(ひいひいおじいちゃん)が、
東京から開墾のために多古町へ引っ越してきたのだそうです。
少しでも、空港建設の場所がずれていたら、
実家も今のところには無かったんだろうなぁ。
不思議な気分です。
そして、管制塔占拠事件は三里塚闘争ともいわれたりするのですが、
劇中でも三里塚という地名が沢山出てきます。
「三里塚」という地名もよくそこの歯医者に行っていたので馴染みある名前なのですが、
東京に出てきてから、こんなにも地元の地名を聞くことになるとは思いませんでした(笑)劇中でも三里塚という地名が沢山出てきます。
「三里塚」という地名もよくそこの歯医者に行っていたので馴染みある名前なのですが、
地元ということも加わって、
深く心に残る舞台でした。
終演後に気になって色々記事を見たりして。
今日見てきたお芝居の事もあり、ちょっと空港の事を調べてた。うちの近くでこんなことがあったんだなぁ…— 行橋安美|劇団ステージウイング (@YasumiHaYukuyo) 2017年9月7日
成田空港はこうして生まれた。当時のようすがわかる11枚の写真 https://t.co/PLsRV8sP9D
実家の地区名が「御料地」(御料牧場に由来するって聞いてた)というのですが、三里塚闘争で有名な御料牧場って思ってたよりうちから離れてる…🙄https://t.co/SBkxPRHXOw— 行橋安美|劇団ステージウイング (@YasumiHaYukuyo) 2017年9月7日
そしてもう一つ。
この舞台の特徴は、出来上がっていく様が見物なこと。
こんなに何かを目指して作っていく舞台は、芝居以上に大変そう。
毎回違う動きになりそうだよなぁと思っていたら、やはり。
出演者の方のTwitterに上がっていたもの↓
蒼白の馬上-1978326-— 鶴見直斗@和装男士 (@Naoto_croix) 2017年9月10日
今回の舞台装置。というより作品。
毎公演、本編中に塔を組み立てていきました。
毎回違った感じになるので、立ち方、立ち位置も変わって、見え方も、やり方も変わる。
こうして並べると、ちょっとした違いだけど、灯りの入り方で雰囲気も違う。#空間芸術 pic.twitter.com/pQem4dgE3L
これがラスト天井近くまで行くのが圧巻でした。
終演後に、出演していた前回共演者の丈さん(北村丈)にご挨拶。
すごいメイクwww
舞台装置と同じく、出演者も出来上がっていくのが面白い作品でして。
他の方々も、劇中にメイクで沢山変貌していかれました。
***
何だか不思議な気分になる舞台でした。
なんとも形容しがたいこの感じ。
自分の地元近くであった事件を扱ったものだからなのか。
演出が投げ掛ける系のものだったからなのか。
時折この舞台の事は思い出して、物思いに耽っていそうです。