この本を買ったのは、
去年やった作品で連続殺人犯に娘を殺された母親役をやったのがきっかけ。
自分が大切にしてきた子と引き離される感情というのは、
通ずるものがある気がしたからです。
最初読んでいて、
「あぁ、これはダメだ…」
と結局途中で投げ出してしまいます。
親の当時の日記が引用されている場面から、
もう、もう心がえぐりだされるような悲しみが、
手に取るようにわかってきてしまって。
非常に事実に忠実に、
そして当時の両家族の様子を丁寧に描いています。
途中から、子供たちの親の生い立ちにも話が入っていきます。
最初はなぜ?と思っていたのですが、
それが元通りに交換されたあとの子供たちに、
非常にひじょーーーに大きな影響を与えているのです。
沖縄という風土にも踏み込んだ内容を細かく書いてくださっているので、
この子供を取り違えてしまった家族の17年の壮絶さが手に取るようにわかってきます。
家族のつながりとは何か。
最後の結果を見ると、
非常に考えさせられます。
衝撃的なこのノンフィクション。
いろんな作品のモデルにもなっています。
個人的には八日目の蝉を思い出し…
(ちょっと状況は違いますが…)
文庫用に書きおろされたその後の展開は、
絵に描いたようにと言いますか、
事実は小説よりも奇なりと言いますか…
愛情の大きさというのは、
血縁をも超えるというのがよく伝わってきました。
親子のきずなについて再確認させられる、
ただのノンフィクション・ドキュメンタリーではない重さがある本です。