2017/07/09 ナショナルシアターライブ「深く青い海(The Deep Blue Sea)」
2017年9月10日日曜日
ナショナルシアターライブ「深く青い海」
※以下、公式サイトより引用
上映時間:約180分/初演劇場:ナショナル・シアター/作:テレンス・ラティガン/演出:キャリー・クラックネル(『人形の家』、『メディア』)/出演:ヘレン・マックロリー(「ハリー・ポッターと死の秘宝」)、トム・バーク(「マスケティアーズ/三銃士」)
第二次世界大戦後のロンドン。何不自由なく夫と暮らしていたへスターだったが、若い元空軍パイロットのフレディに心を奪われ、駆け落ちしてしまう。しかし、フレディの愛に物足りなさを感じた彼女は――。20世紀イギリスを代表する劇作家テレンス・ラティガンの1952年初演作。過去に二度映画化され、ヴィヴィアン・リーとレイチェル・ワイズといった実力派女優がヒロイン・へスター役を演じてきた。今回同役に挑むのは、ナショナル・シアターによる舞台『メディア』(14年)での熱演が記憶に新しいヘレン・マックロリー。
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女性の複雑な心情を描いた戯曲。
繊細なのに大胆な動きもあって、
ずっと目が離せませんでした。
原作(Kindle)はこちら↓
理屈では片付けられない、
なんとも言えない閉塞感がむき出しとなる作品。
こういう小さな葛藤は日常茶飯事なのに、
なかなかドラマティックではないからか目を背けられがち。。
(戦争や天災など絶対にあらがえない権力、
みたいなものって描きやすいイメージ)
それに焦点を当てて、見事立体化されていました。
女性を主人公にした戯曲で、
その主人公の自殺未遂のシーンから始まるという、
かなりショッキングなものです。
私は見ながら感情移入するとともに、
こうもやもやした、言葉にできない感情が沢山残りました。
ある意味そうやって楽しむのも面白いです。
こういった作品は、
後から(何か月か後とかに)
じわじわ考えが浮かんでくるのも醍醐味かなと。
今回の戯曲、とっても私好みでほかの作品もみたいなと思いました。
なんでも、自分の実体験をもとに書かれたとか。
だからこそ、今回の主人公は、
ラスト生きる希望を見出したような形で終わっているのかもしれません。
目玉焼きトーストを夜中にほおばる。
何とも言えない日常を感じてしまって、
感動というか思わずじわーっときてしまって。
途中のインタビュー映像で出てきた演出家がの方が
若い女性でビックリ。
こんな骨太を演出されるなんてすごい。
そして、深い海の中にいるようにも見える舞台美術が圧巻でした。
天井を見上げたくなるような高い舞台装置に、
映像ながら感動。
深い深い海の底にいるように青い照明が印象的。
また、マンションの一室らしい、
隣近所の住民の生活感を感じられる作りになっていて、
後ろも3階建てに階段が連なっているんです。
そして壁の部分がスケルトンになっているので、
家から出入りしたり、階段を行きかうのが丸見え。
後ろと上にあるアパートの別部屋が透けて見える分、
そこを人が何度も往来するのが、
主人公が毎日監視されているような気分にもなり。
このセット、生で見たい!
後ろ回ってどうなっているのかもっと細かく見たい!
久しぶりにプログラムも買ってしまいました。
大好きな鈴木裕美さんの寄稿が載っていて、
そちらもまじまじと拝読。
いつか日本でやってくれないかなぁ。
こちらの作品、映画化もされていますが、
邦題が異なりますね( ゚Д゚)
映画の長さもNTLのものとはずいぶん違うので、
また違った演出でこの作品を楽しめるのかも。
「ナショナルシアターライブの深く青い海見れなかったー!」
という人は、上記DVDいかがでしょうか?(*´з`)
Amazonのプライムビデオで400円でもレンタル配信されています。